臨床工学技術課
臨床工学技士とは
臨床工学技士とは、1987年5月に制定された「臨床工学技士法」に基づく医学・工学両方の知識を兼ね備えた国家資格です。近年、病院では医療機器が高度化されており、医療機器の扱い、整備などが難しくなっている現状があります。そこで臨床工学技士は医療機器のスペシャリストとして医師の指示の下、生命維持管理装置の操作及び保守管理を行い、今後増大する医療機器の安全確保と有効性維持の担い手としてチーム医療に貢献しています。
- 公益社団法人 日本臨床工学技士会 http://www.ja-ces.or.jp/ce/
- 日本赤十字社 臨床工学技士会 http://plaza.umin.ac.jp/~jrcce/
- 社団法人 石川県臨床工学技士会 https://ce-ishikawa.medikiki-hp1.com/
臨床工学技術課について
当院の臨床工学技士は、平成18年に初めて採用され、平成20年に医療技術部臨床工学技術課を設立しました。当院においては比較的新しい部門であり、積極的な業務展開により臨床工学業務の確立に向けて日々努力しています。
現在の業務内容としては、医療機器管理業務、血液浄化業務、手術室業務、循環器関連業務(心血管カテーテル業務・ペースメーカー業務等)、在宅医療機器関連業務、内視鏡業務などを実施しており、臨床工学分野においてゼネラリストとして業務を展開しています。
また、各種学会や研修会などにも積極的に参加しており、知識や技術の向上により、安全な医療技術の提供が出来るよう努めています。
各種認定資格
臨床ME専門認定士、透析技術認定士、呼吸療法認定士、MDIC、心血管インターベンション技師、BLS、ACLS、ICLS、植込み型心臓デバイス認定士
技士会・所属学会
日本臨床工学技士会、日本赤十字臨床工学技士会、石川県臨床工学技士会、日本心血管インターベンション治療学会、日本医療機器学会、日本アフェレシス学会、日本医療安全学会
医療機器管理業務
輸液ポンプや人工呼吸器など、院内で使用する医療機器の中央管理を行い、常に整備された状態でいつでも貸出し出来るようにしています。医療機器管理システム(株式会社やよい:Mims2)を使用し、院内の医療機器をバーコード管理しています。このシステムを使用し、医療機器の日常点検や定期点検、稼働率集計、保守点検計画作成などを行っています。


血液浄化業務
血液透析器材の準備、プライミングから穿刺、返血等の臨床業務、安全でより良い治療が行えるように、透析液の検査、治療中の透析用監視装置の点検、透析液水質検査(エンドトキシン測定)、透析関連機器(水処理装置、透析液供給装置、透析用監視)の操作・保守点検、バスキュラーアクセス(シャント)管理として超音波診断装置を用いた管理も行っています。また、医師より依頼があった時は、エンドトキシン吸着療法(PMX)、持続的血液透析濾過(CHDF)、顆粒球吸着療法(G-CAP)、腹水濾過濃縮再静注法(CART)、DFサーモ、LDL吸着療法等の特殊血液浄化も行っています。患者さんへのより良い治療の為、検査データを基にダイアライザの選定や新たな治療法の提案もしています。


手術室業務
手術装置(麻酔器、ベッドサイドモニタ、電気メス、内視鏡装置一式など)や無影灯などの手術室設備のセッティング及び保守管理や手術中~手術後の深部静脈血栓症の予防を行うフットポンプの保守管理も行っています。
また、腹腔鏡・関節鏡・子宮鏡等の内視鏡装置、マイクロ顕微鏡、白内障手術装置、キューサー本体の操作や、清潔補助業務、手術映像録画装置等を使用して手術中の映像等のデータ管理等を行い、医師、看護師と共に安全に手術を行えるように手術室の安全管理に貢献しています。
血管造影室業務
主な業務として、血管造影治療業務の診療補助、冠動脈治療(PCI)での血管内超音波装置(IVUS)の操作、体外式ペースメーカーの操作、補助循環装置(IABP)の準備・操作などを行っています。また、ペースメーカー植え込みの立会い業務(令和3年度10件)も実施し、外来では循環器医師の指示の下、プログラマーを用いてペースメーカーの動作状況や電池残量のチェック、最適な動作への設定変更を行っています。また、診療の補助としてCAG、PCI、PMI、VAIVT等で臨床工学技士による清潔介助も行っています。
在宅医療機器関連業務
当院では医療機器を用いた在宅医療(在宅酸素療法、在宅人工呼吸器など)を行っています。在宅医療機器を導入する患者さん、ご家族への機器の説明や管理を行い、退院後も適切に機器が使用できるようサポートしています。HOT(在宅酸素療法)、CPAP(在宅持続陽圧呼吸療法)、ASV(二相式起動陽圧呼吸療法)、NIP(在宅人工呼吸療法)、LIPUS(超音波骨折療法)、APD(自動腹膜透析)、CAPD(持続携行式腹膜透析)などの在宅導入指導を行っています。


内視鏡業務
当院では内視鏡室業務として消化器内科医師の介助、スコープの洗浄・管理を行っております。医師、看護師と共に安全に検査・処置を行えるように内視鏡室の安全管理に貢献しています。
院内研修
臨床工学技術課では、医療機器安全管理研修会として医療安全を目的とした研修会を定期的に開催しています。また、新人看護師向けの研修会や各部署からの要望に応じた研修会等も担当しており、医療機器に関連した医療安全にも積極的に取り組んでいます。
また、院内での研修施設としてクリニカル・シミュレーション・ラボ(CSL)の運用管理も行っており、常に医療スタッフが技術の向上に取り組めるような環境の提供も行っています。
臨床工学技術課実績(令和3年度)
手術室業務 | 外科鏡視下手術(腹腔鏡) | 182件 |
肝切除術/PD(キューサー/超音波エコー) | 5件 | |
整形外科内視鏡手術(内視鏡システム) | 27件 | |
眼科手術PEA(眼科用超音波手術装置) | 197件 | |
婦人科内視鏡手術(内視鏡システム) | 14件 | |
泌尿器科内視鏡的手術(内視鏡システム) | 46件 | |
泌尿器科内視鏡的手術(内視鏡+レーザー) | 8件 | |
血液浄化 | 血液浄化(HD) | 14190件 |
オフライン血液濾過透析(HDF) | 113件 | |
オンライン血液濾過透析(OHDF) | 1108件 | |
アセテートバイオフィルトレーション(AFB) | 154件 | |
持続緩徐式血液濾過透析(CHDF/CHF) | 16件 | |
吸着式血液浄化法(PMX) | 0件 | |
血球成分除去(G-CAP) | 10件 | |
腹膜濾過濃縮再静注法(CART) | 4件 | |
循環器業務関連 | CAG/AOG | 155件 |
PCI | 70件 | |
PTA | 10件 | |
VAIVT | 24件 | |
T-PM | 13件 | |
PM植込み | 10件 | |
PMジェネレーター交換 | 2件 | |
PMチェック(手動) | 159件 | |
PMチェック(遠隔レポート) | 83件 | |
IABP | 1件 | |
緊急カテ | 29件 | |
呼吸・その他 | 人工呼吸器装着 | 12件 |
マスク式呼吸器装着(V60/NKV-330) | 24件 | |
マスク式呼吸器装着(NIP) | 7件 | |
持続陽圧呼吸療法装置装着(ASV) | 10件 | |
ネーザルハイフロー装着 | 2件 | |
CPAP遠隔レポート提出 | 327件 | |
在宅導入 | 在宅導入指導(HOT) | 13件 |
在宅導入指導(CPAP) | 14件 | |
在宅導入指導(ASV) | 0件 | |
在宅導入指導(LIPUS) | 15件 | |
在宅導入指導(在宅IVH) | 1件 | |
在宅導入指導(APD/CAPD) | 0件 | |
保守管理 | 日常点検 | 4028件 |
定期点検 | 1737件 | |
修理対応件数 | 271件 | |
院内対応 | 204件 | |
院外対応 | 67件 | |
オンコール(トラブル)対応 | 75件 |